- 現代の、新しい、ナチュラルホルン -
ナチュラルホルンが今の時代を生きるならば―。
ベストブラスの、「楽器は進化する。」という信念の基に開発した新しいナチュラルホルンが、このPUNTO モデルです。
PUNTOは、現代ホルンのデザインを基に発展させたナチュラルホルンです。伝統的な楽器に比べ、やや大きいベルスロートを採用し、デュアルスライドシステムを新たに開発しました。
現代ホルンに通じる滑らかな吹き心地や、鳴りムラの無い良好な音程バランス、そしてその美しい響きは、現代を生きる我々楽器製作者から稀代のホルンの名手へのオマージュです。
ナチュラルホルンは現在、ピリオド楽器としての役割が主であり、市場には最盛期(1800年代)の楽器をコピー再現したスタイルが多く出回っています。当然、これら古いスタイルの楽器には、楽器としての進化はほとんど見られず(良いか悪いかの議論はさておき)音程の癖などの問題も当時のまま残っています。その一方、この間のホルンの進化は目覚ましいものがあります。現代ホルンの優れた音響特性は、200年以上掛けて数多くの楽器製作者達が試行錯誤を続けてきた結果なのですから、両者の性能差には歴然たるものがあるのです。
ナチュラルホルンは近年、日本においてもその価値を見直されることが多くなってきました。現代における古楽復興の大きな流れや、優れた奏者の台頭、そしてその演奏にインターネットで簡単に触れられるのですから、自分でも挑戦してみたいと思う方も多いでしょう。モーツァルトのコンチェルトやベートーヴェンのホルンソナタなどは、元々ナチュラルホルンのために作曲されています。ハンドストップ奏法で演奏することは、演奏様式の史的考証に加え、作曲家の意思をより強く感じ取るという点においても非常に有効ではないでしょうか。
「音楽大学のホルン専攻生でさえも、もっと右手の使い方の勉強が必要だ。そのためにも、古いスタイルの楽器では無く、現代スタイルのナチュラルホルンが必要なんだよ。」
この言葉はある有名演奏家の言葉で、PUNTOを開発した要因の一つにもなったほど印象的なものでした。
せっかくハンドストップ奏法でベートーヴェンを練習したのに、当時のスタイルのナチュラルホルンでしか役に立たないのでは、ますます挑戦へのハードルは高くなります。
古楽演奏を生業とする方を除けば、ホルンにおいてもその経験を活かせるような、現代のナチュラルホルンこそが求められると思います。PUNTOがまさにそれなのです。
モデル名 | ナチュラルホルン「PUNTO」モデル |
仕上げ | ローブラス |
ウェイト | 約1.2Kg (in F) |
税込定価 | 297000円(in F) 詳細は価格表参照 |
デュアルスライドシステム(DSS)
PUNTOモデルは、1本のボーゲンではなく2本の抜差によって移調するのが特長です。
2つの管長の足し算により調性を変更するため替菅自体が非常にコンパクトになるというメリットがあります。見た目にも美しいこのデザインは、
重心が楽器中心に集まるように計算されており、上品さと機能性を両立させています。
Giovanni Punto(1746-1803)について
ナチュラルホルンの演奏には「ハンドストップ奏法」の習得が必須ですが、この奏法を完成し世に知らしめたといわれる人物こそ、Giovanni Punto(以下プント)です。プントは、当代随一のホルンの名手としてヨーロッパ中で名を知られ、かのモーツァルトにも称賛されました。またベートーヴェンのホルンソナタ(op.17)は、プントがナチュラルホルンで演奏する為に作曲され、若きベートーヴェン自身をピアノ奏者として、プントと2 人での初演を行っています。当時、プントはベートーヴェンより有名だったようで、ある評論家が残した記録には「Who is this Beethoven? His name is not known to us. Of course, Punto is very well known.(このベートーヴェンというのは誰だ?彼の名前は私たちには馴染みが無い。もちろん、プントはとてもよく知られている。)」との記述があります。プントの凄さが窺い知れるエピソードです。
画像はIHSのページより引用